SK IP LAW FIRM

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


SK特許業務法人
〒150-0012
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広尾ビル4階
TEL 03-6712-6985
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SK特許業務法人の知財戦略ブログ

SK特許業務法人 特許実務メモ

 


SKIPとしては、これからの時代の日本企業の知財戦略として、以下の早期審査+PPHを活用した知財戦略 をオススメします。

解1:日本国内の防衛特許出願はゼロにする。
解2:日本国内で特許出願するのは、外国出願する価値のある基本発明のみとする。
解3:日本国内出願の段階から、 欧米中韓台+新興国で通用するクレーム・明細書を作っておく。
解4:日本国内出願は、外国出願のための優先権の基礎と位置づけ、外国での権利化を有利にするために、出願と同時に早期審査請求をして1年位内に権利化する
解5:日本国内で権利化できた基本発明は、全件PCT出願+台湾出願をする。PCT出願は30月まって欧米中韓+新興国に国内移行する。
解6:欧米中韓台+新興国でPPHを申請してほとんどOA無しで早期権利化する

 
このようにすれば、限られた知財予算を効率良く使って、少ない知財予算で欧米中韓台+新興国で充実した特許ポートフォリオを構築していくことが可能になります。その理由を、以下に解説します。

日本特許庁の2012年の特許査定率:66.8%

日本特許庁がリーマン・ショック後に急激にプロパテント政策に舵を切りつつあります。
知財高裁のプロパテント化の影響を受けているのだと思いますが、すでに特許査定率は66.8%まで向上して います。
また、日本企業が防衛特許出願を減らしており、日本国内には重要な発明の特許出願しかしなくなりつつ有るこ とも影響していると思われます。

もはや、米国特許庁についで、日本特許庁は世界でもトップクラスに審査の甘い特許庁であるということになります。
そのため、日本特許庁で早めに広めのクレームで特許を取っておいてから、その審査結果の影響を他の国に及ぼすことが有利になります。


特許行政年次報告書2014年版より引用


日本特許庁の審査順番待ちの激減(もうすぐ日本で世界最速の審査が実現します)
日本特許庁が特許出願の審査を急激に迅速化しつつあります。
既に2012年には、審査の遅れがひどくなった米国特許商標庁を抜いて、日本特許庁が日米欧の中で最速の審査機関になっています。


もっとも、中国特許庁および韓国特許庁の審査スピードは日本特許庁よりも早いので、残念ながら日本特許庁は世界最速ではありません。
そのため日本で先に権利化を行い、その審査結果の影響を中韓に及ぼしたい場合には、早期審査請求を行うのがよいと思います。


日本特許庁の特許査定率の急上昇と組み合わせれば、まず日本で早期審査請求をして中韓よりも早期に特許を取得した上で、PPHを利用して欧米中韓などの海外でのOAの回数を減らして早期権利化を低コストで実現することが、これからの知財戦略として重要になってくる可能性が高いと思います。

▼日本特許庁のファーストアクションにかかる期間の推移

特許行政年次報告書2014年版より引用

特許行政年次報告書2014年版より引用

▼各国特許庁における「権利化までの期間」の推移

特許行政年次報告書2014年版より引用


早期審査案件の特許査定率は通常よりも高い
早期審査は、特許になりやすいというのが実務家の感覚ですが、特許庁の出している過去の統計データ(最近公表が取りやめられました・・・)からもその感覚が正しいことが分かっています。
そのため、日本特許庁において早期審査請求される案件の数は増加し続けています。

また、近年、審査の早期化により情報提供の機会が十分にないまま特許になるものが増加しています。
特に、出願公開前に特許査定される場合には、第三者が情報提供できる機会が全くなく、スムーズな権利化を図る上で極めて有利です。

▼日本特許庁における早期審査請求の件数の推移

特許行政年次報告書2014年版より引用

日本企業は審査請求のタイミングが遅すぎ る?

日本企業は審査請求のタイミングが遅すぎるかもしれません。韓国、ドイツでは、出願年に約70%強が審査請求されています。一方で、日本では、出願年に約10%程度しか審査請求されず、3年目に70%程度が審査請求されます。その結果、日米欧中韓台にファミリー特許出願をした場合、最初に審査請求制度のない米国で審 査が始まってしまい、何度も米国でOA対応をすることになり、高額な米国特許弁護士費用を支払うことになってしまいます。
もしも、日本企業が、特許出願と同時に早期審査請求(特許査定率は70%強・・・)をして、出願から1年位内に日本国内で権利化をしてしまい、日本で権利化し終わってからPCT出願+台湾出願をして欧米中韓に国内移行 し、日本での権利化の結果にもとづいて欧米中韓台でPPHを申請すれば、欧米中韓ではほとんどOAを受けずに早期権利化をすることができます。その結果、欧米中韓でのOA応答のための現地代理人費用を著しく節約で き、安価な日本代理人の中間処理費用(平均でOA1回10万円くらい?)しか支払わずに済むので、日米欧中 韓台での特許ファミリーの権利化コストを30%以上安くすることが可能になります。


すでに欧米中韓台+ロシア・カナダ・メキシコ・オーストラリアへはPPHで出願できます。東南アジアには修正実体審査で出願できます。 ブラジル・インド・中東だけが問題です。
そのため、日本企業が特許出願する可能性が高い国々に関しては、日本で出願と同時に早期審査請求をして 外国出願前に権利化してしまえば・・・欧米中韓台+ロシア・カナダ・メキシコ・オーストラリアへはPPHで出願してほとんどOA無しで権利化可能・・・東南アジアには修正実体審査で出願してほとんどOA無 しで権利化可能・・・ブラジル・インド・中東だけ、独自の審査を受けてOA応答すればよいことになります。

▼日本特許庁の結んだPPHネットワーク

特許行政年次報告書2014年版より引用

▼通常型PPHとPCT-PPH

特許行政年次報告書2014年版より引用

減り続ける知財予算を有効活用する ために、早期審査+PPHの活用を!
日本企業の知財予算は、リーマンショック後に一気に減った後に横ばいを続けています。しかし、研究開発費も横ばいなんだから当たり前・・・です。企業の知財部は、研究開発部門および事業部門(製造部門&販売部門)のサポート役ですから、研究開発予算が減っているのに知財予算を増やすなどありえない話です。


また、知的財産権というのは、いわば研究開発成果を保護するための掛け捨ての損害保険のようなものですか ら、掛金5%~10%程度に留めるのがあるべき姿です。すると、日本企業の知財予算は、おおよそ研究開発予算の5%~10%くらいの間に収まっているので、健全な状態と言えます。むしろ、1990年のバブル崩壊後も日本企業の研究開発予算の増加に伴って、リーマンショックの発生した2008年頃までは順調に知財予算は増えており、かなり恵まれた業界だったのですから、文句を言ったらバチが当たります。


これまで、日本の製造業は中韓台+新興国の製造業の追い上げに加えて、民主党政権(弁理士である菅直人首相・・・)の失策による超円高によって業績が苦しくなるところが多かった(もちろん、製造業にぶら下がっているサービス業はもっとしんどくなっていた・・・)わけですが、自民党の政権奪還によるアベノミクスの影響で日本の製造業の研究開発費がようやく増えそうな兆しが出てきましたので、今後数年間(東京オリンピック開催の2020年頃まで)は横ばい~微増ということになると思われます。しかしながら、リーマン・ショック後の知財予算削減で節約体質が染みこんだ日本企業の知財部がおいそれと知財予算を増やすとは思えませんし、仮に知財予算が若干増えたとしても、日本の製造業の知財予算の多くは外国出願費用に振り向けられるでしょうから、国内出願用の費用が劇的に増加することはありえないと考えるべきです。

すなわち、日本企業の知財部門にとって、重要なのは、知財予算を増やすことではなく、限られた知財予算をいかに効率良く使って、少ない知財予算で欧米中韓台+新興国で充実した特許ポートフォリオを構築していくかということになります。そのための解は以下のとおりだと思います。

解1:日本国内の防衛特許 出願はゼロにする。
解2:日本国内で特許出願するのは、外国出願する価値のある基本発明のみとする。
解3:日本国内出願の段階から、 欧米中韓台+新興国で通用するクレーム・明細書を作っておく。
解4:日本国内出願は、外国出願のための優先権の基礎と位置づけ、外国での権利化を有利にするために、出願と同時に早期審査請求をして1年位内に権利化する
解5:日本国内で権利化できた基本発明は、全件PCT出願+台湾出願をする。PCT出願は30月まって欧米中韓+新興国に国内移行する。
解6:欧米中韓台+新興国で PPHを申請してほとんどOA無しで早期権利化する

 
このようにすれば、限られた知財予算を効率良く使って、少ない知財予算で欧米中韓台+新興国で充実した特許 ポートフォリオを構築していくことが可能になります。

特許行政年次報告書2014年版より引用

特許行政年次報告書2014年版より引用