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SK特許業務法人
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SK特許業務法人の知財戦略ブログ

SK特許業務法人 特許実務メモ

mail magazine

 


SKIPでは、事務開発部門(愛称:Code Girls)がシステム開発に参加しています。

 

弊所では、PatDataとVBAベースの所内システムを組み合わせることによって、安定性と使いやすさの両立を図っています。

期限管理・事務書類作成→データベース的思考で考える

 

SKIPでは、2015年までは、伊藤弁理士坪龍志などの技術部門のメンバーが中心になって開発を進めていましたが、その問題点としては、技術部門の発想では、事務部門が本当に使いたいものを作ることが困難であるということです。

「使う人が、自分が欲しいものを、自分が使いやすいように作る」というのが理想ですが、使う人と作る人が分かれているとこの理想を実現することができません。

そこで、この理想を実現するために、2016年から事務部門を「事務開発部門」に改称し、毎週VBAの講義を行って、コーディングを勉強させることにしました。

 

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女の子の涙とプログラミングは武器になる♥  イケてるコードでキニナル坪コーチのハートをノックアウト♪  

 

この取り組みを2016年7月から開始し、2016年末頃には、事務メンバーのコーディング能力が目に見えて向上してきました。

それによって、普段の業務を行いながら、ミスをしそうな箇所を見つけると、自らコーディングをして警告が出るようにシステム変更を行うことができるようになりました。また、事務と技術の連携も、事務メンバーがChatWorksのAPIを用いてコーディングを行うことによって大幅に効率化されました。

弊所のシステムは、誰でもアップデートすることができ、全てのバージョンが自動保存されるようになっています。このため、誰もがシステム開発に参加して、業務効率を高めることができるようになっています。

多くの組織では、問題を感じる人と、問題を解決できるスキルを有する人と、システム改良の許可を出す人が分かれているので、システムの改良がほとんどなされず、使いにくいシステムが長く使われると思います。

弊所では、問題を感じる人と問題を解決できるスキルを有する人とを一致させ、かつ、決済なしでシステム改良を行うことができるようになっていますので、使いにくい箇所がその日のうちに改良されています。

 

■つぎはぎITシステム(パッケージソフト、フリーウェア、クラウドをつなげて活用)

 

SKIPが優秀な人材に十分な報酬を払いながらローコストでサービスを提供できる秘密の一つが、バラバラにした単一機能のソフトウェア(パッケージソフト、フリーウェア、クラウド)をつなぎあわせて構築している独自のITシステムです。



また、システム開発に於いては、永遠に完成しないザグラダ・ファミリアの建設作業にも似たデスマーチになりがちなウォーターフォールモデルを採用せず、小さなサイズのプログラムを少しずつ追加する形で実装して、不具合があればどんどん修正をかけていくという、アジャイル開発の思想に基づいた開発(Development)と運用(Operation)が一体となってシステムを開発していく「DevOps」という仕組みを導入しています。

 


また、システム開発をするための専属の部署は儲けずに、実務を行っている弁理士・特許技術者、秘書などが、自らプログラミングを勉強してシステム開発を行うようにしています。そのため、システム開発のデッドラインは設けることなく、通常の業務の合間に20%ルールを活用してシステム開発を行い、少しずつ新しいプログラムを追加していくという形で無理の無いシステム開発を行っています。



そこで、SKIPのパートナーの伊藤弁理士に「つぎはぎITシステム(パッケージソフト、フリーウェア、クラウドをつなげて活用)」というテーマでSKIPがいかにしてローコストで信頼性の高く使い勝手のよいシステムを構築しているかを語ってもらいました。

 
■期限管理・事務書類作成→データベース的思考で考える


期限管理は、いうまでもなく特許事務所で最も重要な仕事の一つであり、どこの事務所でもミスを防ぐべく、工夫を凝らしていると思います。


弊所では、開業して、すぐに、この業界で最もシェアが大きい市販の期限管理ソフトを導入しました。100万円以上する非常に高価なものです。

このような市販の期限管理ソフトは多くの人が使っていて歴史があるので、バグの発生頻度が低く抑えられる点に利点があります。ただ、重大な欠点として、作 成したのが特許事務所の所員ではないので、一見、使いやすいようには見えても実際に使ってみると不満だらけな面もあります。また、データベースのデータを 用いて、報告書等を作成する機能は一応はありますが、あまりにも使いにくいので、ほとんど使っていませんでした。

あまりにもインターフェースが悪いので使うのを止めて、独自でデータベースを作成しようかとも考えましたが、バグを十分に取り除くには多大な時間と手間がかかってしまい、その間に事故が発生するリスクを考慮して、止めました。

色々と考えた挙句、市販の期限管理ソフトをメインデータベースとして利用しつつ、インタフェース部分のプログラムを自分で作成することにしました。こうすることによって、期限管理の高い信頼性を維持しつつ、使いやすいものができると考えたからです。

色々と試行錯誤した結果、ウィンドウズマクロを使えば定期的にデータベースのデータを自動的にエクスポートすることができ、このエクスポートしたデータか ら必要なデータをエクセルVBAを使って抽出し、それをワードに流しこむことによって、ワードファイルの任意の位置にデータベースのデータを自動入力する ことに成功しました。


ワードの雛形は、だれでも簡単に作成できるようにしました。根幹となる部分のプログラムは私自身が作成し、細かい点の修正を行なっていますが、インタ フェース部分はただのワードですので、誰でも自由に編集でき、新しい雛形を作成することができます。この雛形には、データベースのデータを簡単に流し込め ますので、あらゆる書類のデータ入力をほぼ自動化できました。


例えば、特許庁への提出書類は、ほぼ全自動です。整理番号・識別番号・出願人・出願番号など、全て自動で入力されます。また、クライアントへの報告書類も ほぼ全自動です。出願日・公開日・公開番号・クライアント番号・クライアント担当者などが自動で入力されますので、入力された内容を念のため、確認すれば 報告書作成は完了です。

このような方法のメリットの1つは、事務所類の作成時間が大幅に減少することです。私がこのシステムを作る前は、必要なデータを色々な書類を見て、コピペ で入力していました。例えば、1つの書類の書誌事項の記入に10分かかっていたのが、弊所のシステムだと1秒になります。

そして、より大きなメリットは、入力ミスが減少することです。コピペだと、コピペするデータを間違える可能性があり、書類の精度は、事務員のスキルに大き く依存します。弊所のシステムだと、事務員のスキルに関わらず、正しい位置に正しいデータが入力されます。番号の手打ちは、もっと最悪です。必ず一定の頻 度でミスが発生します。弊所では書誌事項の手打ちは禁止しています。



また、さらに大きなメリットは、データベースの内容をチェックすることができることです。データベース管理で最も重要なことは、正しいデータを入力するこ とです。ここを間違えると全てが終わりです。出願番号の桁間違い、出願日の入力間違いなどが起こると、期限管理が正常に機能しませんので、期限渡過の原因 になります。多くの事務所ではダブルチェック・トリプルチェックを行なってデータベースの内容をチェックしていると思います。


弊所のシステムでは、報告書類の作成行為がそのままデータベースの入力データのチェックになります。報告書に記載されている出願日・出願番号は、データ ベースの内容と必ず一致しています。事務員が報告書作成時に、出願書類の受領証と、報告書に自動入力されているデータを比較して、一致していることを確認 します。その後、技術担当が再度、同じ作業をします。やっていることは、報告書のチェックです。しかし、それが自動的にデータベースの入力データのチェッ クにもなっています。報告書のデータがミスがあると、報告書を直すのではなく、データベースのデータを直して、そこからデータを引き出して、報告書を作成 します。このような方法によれば、データベースの入力ミスを極限まで減らすことができます。

このように弊所では、データベースのデータを用いて全ての書類を作成できるシステムを作成しました。弊所の業務量が比較的少ない時に私が3週間ほどかけ て、だいたいの形を作成して運用を開始し、その後、改良を続けてきました。問題があれば、その問題を解決するための仕組みを導入することは簡単です。市販 のソフトは、改良の要望を出しましたが、一向に改善されません。また、高価なシステムは500万円以上しますし、システムを全て独自に開発すると数千万円 以上、ヘタしたら数億かかると言われています。弊所のシステム開発費は、私の3週間分の人件費のみですので、せいぜい数十万円ですので、極めて安価にシス テム開発ができました。

うちのシステムでは、誰でも新しい雛形を作ることができます。その雛形は雛形一覧リストに追加され、リストから必要な雛形を選択するだけで、必要な書類を 一瞬で正確に作成することができます。書類の書誌事項に間違いがあれば、それはケアレスミスではなく、データベースのデータの問題になります。ケアレスミ スを減らすことは極めて困難ですが、データベースのデータの修正は簡単です。そして、データの修正後は、同じミスは決して起こりません。

このようなデータベース的思考で特許事務所の業務を考えれば、特許事務の業務量は大幅に軽減することができます。そして、コピペのような生産性の低い仕事 から事務員を解放すれば、どうすればより分かりやすい報告書を作成することができるかといった顧客満足を高めるための工夫にリソースを割り当てることがで きるようになります。

 

■事務費用の半減

 

このように、弊所では私が作ったソフトを使って、PatDataと連携を図ることによって、業務効率の大幅アップに成功しました。 それでも、まだ、一つ一つの作業に余計な時間が発生しています。例えば、かつては、特許料の納付書を10通作成するのに、約15分程度の時間がかかっていました。データベースからデータを流しこんで、HTML化して、案件フォルダを開いて、そこにコピーをするという作業がどうしても発生するからです。

現在では、このような作業を効率化することによって、事務費用の半減。事務費用を減らすことができれば、弊所の利益率を保ちつつ、クライアントへの請求金額を減らすことができます。そうすれば、弊所への業務発注量が増えますので、クライアントとWin-Winの関係を作ることができます。

具体的には、最近、新しく作ったプログラムを使うことによって、10件の書類作成にかかる時間を15分から1分にまで短縮することに成功しました。事務作業の中には、効率化が難しいものもありますが、効率化が可能なものを10倍に効率化することによって、事務費用を半減させることができます。

この効率化の効果は弊所が成長するに従ってだんだんを大きくなります。従来実務では、案件数が10倍になれば、必要な時間は15分から150分に増えていましたが、新しいやり方では、10倍に増えても、作業時間は、3分程度すむからです。150分が3分になるという劇的な効率アップになります。

特許事務所ランキング(知財ラボ調べ)で紹介しているように、弊所は、取り扱い件数が順調に増加しています。規模拡大に伴って、利益率の低下(=請求額のアップに繋がります)にならないように、今のうちに効率化のネタを仕込んでおきます。